猫の噛み方 (Roma v Barcelona / UCL quarter final 2nd leg)
特に何が凄いのか全然覚えてないんだけど、ナポリとユヴェントスの試合は両者のこの試合にかける思いの違いが結果に現れた。
鼻息荒くなっちゃった。
チャンピオンズリーグのローマ対バルセロナも、凄い良いと評判を聞き録画した。
(フジテレビ、ありがとう)
1stレグの結果は知らなかったけど、結構なビハインドをローマは背負っていた。
故にやることは明確である。
プレッシャーの強度は高く、早めにフィニッシュに持ち込む攻撃。相手にはフィニッシュを許さず、5バック気味で守る。
選択肢が少ないので、そこにかけるパワーが違う。このパワーの量を人は「勢い」と言うのかもしれない。
前述のナポリは「3ポインツ」なのに対し、このローマは「3-0以上での勝利」と目標が非常に微分されていた。
「勢い」の違いは目標が狭まれば狭まるほど強くなる。
これが追い込まれた者、弱者の戦い方である。
窮鼠猫を噛む、にしても我武者羅ではなく工夫が求められる。
異なる風景、繰り返す歴史 (v Manchester United / FA Cup semi final )
FAカップは普段のプレミアリーグとは異なる趣。やや古いというか、商売気が薄めというか。スタメンの表示も2000年代を思わせる雰囲気。
客席も然りで、プレミアのお客さんに比べて騒がしい。セミファイナルの熱気故か、ウェンブリーは喧騒に身を浴していた。椅子の使用率も低いし、両クラブ旗も多い。(旗はプレミアだとNG?)
きっとチケット価格が高騰し、観光客商売になったプレミアには普段来ないような地元の人やクラブのファンが多かったんだろうな。普段とは異なるモザイクを描く客席だった。
DAZNの画質もやや粗かったような…。
ピッチでの熱というのも激しく、見応えが有った。スパーズ目線で行くと、要所をしっかりと抑えられた。ビハインドなのに手をこまねいた感も否めない。
そこはマンチェスター・ユナイテッドだったり、モウリーニョ監督の凄みなんだろう。
チャンピオンズでキエッリーニ選手が発した「トッテナムの歴史」がここでも出てしまったように思う。
試合後のポチェッティーノ監督の会見から言うと、スパーズのプロジェクトにおける今季のミッションはプレミアでのトップ4確保である。
目先のタイトルは逃したが、もっと遠いところに目標は有る。
屁理屈のひとつでも(v ヴィッセル神戸)
神戸は大変オーガナイズされた、質の高いチームだった。
何よりもボールの奪いどころが明確。名古屋の選手の止まったところを見逃さずにプレッシャーをかけ、イーブンになったボールをまた別の選手が回収する。
名古屋のプレッシャーに全く連動が見られなかったのに対して、「デザインされたプレッシャー」とはこういうものなのかもしれない。アジア最終予選のオージー戦の日本代表が近いかも。
小気味好い、見ていて気持ちの良い守備から短く速いパスの交換でチャンスを作っていった。
名古屋としては、完全にやり込められたイメージである。全てにおいて力負け。
ポルディ選手の番をしていたワシントン選手を外して和泉選手にしたら、すぐさまやられてしまった。ワシントン→和泉は守備と攻撃のトレードオフだから仕方ないにしろ、賭けにも負けた。
21年ぶりの6連敗とはベンゲル監督の翌年か。しかも、神戸はかつてのお得意さんじゃん。
屁理屈のひとつも言いたい。
神戸はパスをつなぐことが目的なのに対して、名古屋の目的は試合を支配すること。お互いその目的の先に得点なり勝利なりが有る。名古屋はより抽象的な概念を扱っている。そのためならショートパスだろうが放り込みだろうが関係ない。いま選手個々のイメージや確実にできることが「ショートパスをつなぐこと」であるだけ。
「次元が違うんだよ」と強がりたい。そんな理想を形にする時間はひたすら長い。そう信じたい。
週末のフットボールとカルチョ(4月第3週)
トッテナムはマンチェスター・シティと、ナポリはACミランと、ともにビッグクラブとの試合。
普段はボールを支配するトッテナムも、マンチェスター・シティにはそうもいかない。
前半は「マジかぁ…」ってくらい自陣ペナルティエリアに貼りつくことに。
デンベレ選手が、こんなに下がってるのは勿体ない。などと思う。
明けて後半は、かなりアグレッシブにボールの受け手に圧力をかける。
このビシバシ感には興奮。
だけどこういうのって、長く続かないのよね。
耐えたマンチェスター・シティは、守備の選手を投入するも、その後も試合終了まで通常運転だった。
ミランもポゼッション志向を強めているらしいが、ナポリに比べれば洗練されていない。
かわりに、割り切っているのか、思い切ったサイドチェンジを多用して、ナポリ守備を揺さぶっていた。
ミランから見て右から左へのサイドチェンジが多かった前半は、インシーニェ選手のボール保持も鳴りを潜めていた。
ポゼッション同士で組み合うものの、あちらの諦めの良さも有りドロー。
痛み分けという言葉がよく似合う結果である。
敗れざる者たち( v 鹿島アントラーズ)
沢木耕太郎の「敗れざる者たち」に収録された榎本喜八のルポが大変印象に残っている。
4打数4安打でも不満、無安打でも納得できるバッティングができていれば満足していたという。
ボール支配率は60%を超え、ペナルティエリアへの侵入も多い。
特に後半は満足のいく内容だった。
だけど、負けてるんだよね。
驚きのシュートの少なさがそれを物語る。
「怖くないから回させておいてOK」という判断が鹿島側には有ったのかもしれない。
もしかしたら、風間監督にとって真の勝敗とは相手より多く得点することではなく、試合を支配している時間の長さなのかもしれない。
そういう意味では試合における勝敗から解放された存在である名古屋は今、「敗れざる者たち」である。
得点数における勝敗は、試合を支配した結果として付いてくるのに過ぎない。
(リーグカップで勝ったのでようやく結果はついてきたね。)
荒療治にも程が有る(v ベガルタ仙台)
深堀選手が今季初めての先発を飾り、ジョー選手がベンチに控えていた。
練習の様子や発言からすると、裏への意識を高く持っている。先日の鳥栖戦でも裏に抜けて良い形でボールを受けていた。あとは運動量も期待したいところである。
始まってみると良い形でボールを受けれることは無く、プレスもはまらず空回りしている印象を受ける。
前半のうちにジョーと交代していまい、残念である。
ジョーにかわると全体がコンパクトになり、一気に活性化する。
裏を狙う深堀が前線に張っている状態が続くと中盤が手薄になり、青木選手がボールを受けに中央寄りに場所を移す。秋山選手が孤立し、手薄になった左サイドを使われるシーンが前半は目立ったように思う。
ジョーが前後に動いてボールを受ける事で、中盤のボールの受け手と、サイドの駒の確保の両方が解決した。
深堀を先発にしたのは、「やっぱジョーだよね」と認識させるためなのか。荒療治にも程が有る。
駒を確保すると狭い範囲内での数的優位が作れる。すなわちフリーの選手が増える。
秋山→ジョーの得点はフリーとなった二人が、持てる技術を存分に活かしていた。
とはいえ、負けている。
仙台の得点もボールの出し手、受け手が共にフリーであった。
相手も伊達にプロやってるわけじゃない。フリーだったらルーキーでも、引退間際でもしっかり仕事しますわ。
ボールを支配する。ゲームを支配する。それは「自分で完全にコントロールする。相手のコントロールを阻害する」ということかもしれない。
かつてナポリのプレッシャーのかけ方ににいたく感動した。
前線からのプレッシャーで、コントロールが不完全なクリアボールを蹴らせることによって、ことごとく回収する。こちらが取り返せるくらいのボールなら蹴らせて良いんだよ。
ただ、鳥栖みたいにイーブンなボールを可能性に変える事に長けているチームに対してはボールの出し手、受け手、もうひとりに対するケアが必要なので、そこは頭をつかわなければいけない。
名古屋も組み立てで簡単なロングボールは入れずに、ひとりかわして完全な状態を確保してから入れている印象を受ける。攻めている時にそれができているなら、逆も、すなわち守備のときでもできるはずだ。
相手を自由にさせるからいけないんだ、という荒療治というかドギツいレッスンであった。
底力を見た(v ChievoVerona)
ナポリはディアワラ選手、トネリ選手という二人の選手が入った。怪我人の影響による編成に、固定メンバーの疲弊が見えた。
しかし、この二人が最終的に仕事をした。チームとしての底力を見せてくれた。
後半のコーナーキックでトネリの良いシュートが続く。最後のコーナーでディアワラがフリーでシュートを打てたのも、キエーボの守備がトネリを気にしたからと言っても良いと思う。
ナポリ、踏ん張ってくれ。
メンバーが変わっても同じ輝きを見せるのがインシーニエ選手である。
すごいなあ、と思ったことが二点挙げる。
・相手選手が食いつかない微妙な距離感を保つ。しかも、右足でチョンチョンと軽く触った状態でそれを実現。
・右足のクロスボールは膝下だけの力で放っている。
もしかしたら左サイドでしか活きない選手かもしれないけど、
深い位置でボールを受ける→切り返しで相手選手の体勢を崩す→距離をとってここぞのタイミングで短い振りのクロスボール
分かっていてもやらせてしまうのは、彼の技術の高さの証明と言える。
ビッグクラブの守備陣はどうだろうか?次節のミラン戦では注意して見てみたい。