Further Groove Reminders

刻むグルーヴ、たまに思い出す。

誰も望まない意思決定を受けて

試合が始まる前に考えをまとめる。

 

4月の監督交代は誰が望んだのか?ハッキリしたことは分からぬまま本大会までやってきた。

組織の意思決定は難しいということを感じている。

核戦争一歩手前まで迫ったキューバ危機や、人間関係や作戦遂行が目的化して撤退時期を逸したインパール作戦と同じにおいがした。

 

コミュニケーションの問題、というブラックボックスの内部に対して様々な憶測が飛んだ。見えないから、あらゆる人が自分の納得いくストーリーを組み立てる。

選手が不満を漏らした。スポンサーから圧力が有った。日本協会会長は自身の監督で戦いたかった。

ある人には納得のいくパズルのピースは、別の人には理解し難く、充分な説明は無い。

 

自分なりには答えは出ている。

誰もこんな結果は望んでいなかった。

NHKが放送した本田圭佑選手のドキュメンタリーを観ていたら、本田の諦めムードが如実に伝わってきた。

「あんな酸っぱいブドウは要らん」と言わんほどだ。

彼は不満を持った選手の中心とは言われていたが、「辞めさせろ」とまでは思っていないだろう。選手としてわきまえている。

 

スポンサーで言えばキリンは一番搾りの「ヴァイド缶」をプリントしてしまったらしく、こりゃ回収たまらんね。まさか監督交代を望んではいまい。

それを取りまとめる広告代理店だって、他の広告主を立ててもキリンのメンツは潰せまい。

 

「まい」だらけで、これだって憶測の域を出ない。自身の触れた情報をつなぎ合わせると、腑に落ちる答えは「誰もこんなこと望んじゃいない」。

 

発言の真意を「なんとなく」慮って、上奏し、脆弱な根拠の意思決定がなされる。つなぎになるのは曖昧な言葉だ。

 

これを防ぐのは個人の意思表示だと思う。

事象に対し何を感じ、どうすべきか。

自身や、自分の属する最小単位のユニットは何をすべきか。上位の組織はどうあるべきか。

こんなところを明確にしないと、力関係に自ら呑まれることになるであろう。

 

まとめ。

・問題点

監督交代理由が不明確。

ブラックボックスの中での意思決定。

コミュニケーションの問題を解決する仕組みが動いていない。

相手を過剰に慮った故の、誰も望まぬ結果。

・解決策

個人や、組織内の最小単位ユニットの明確な意思表示(エモーショナルな部分と具体的行動)。

それをベースにした衝突や調整。

 

2017-18 UEL / UCL Final

マルセイユの2ndと、レアルの1stはぼんやり見ていると同じ気がしてくる。

 

UEL

アトレティコ・マドリーのことを堅守とは頻繁に聞く。

シーズン通して見てみれば数字に現れ「成程、堅守!」と合点がいきそうなところである。

しかし、この日が初見と言っても良いくらいなので新鮮な気持ちで観戦。

故に見えたのは、的確なプレッシングと攻守切り替えの早さであった。

ボールホルダーに対して必ず複数人で行くので、ボール奪取後のかわす動きが滑らかだ。マルセイユもそこは工夫できんのか、とも思ってしまったが。

ナポリはパーフェクトなボールを出させないことで、後方の回収を容易にしていた。スパーズは奪ったらひとりでも力強く前へ進んだ。アトレティのやり方は、ある種の名古屋っぽさがあるかもしれない。

グループリーグを予選と呼ぶなど愛とか知識が無いので、やっぱり日テレ、読売にはウンザリさせられる。ヴェルディが泣いているよ。

 

・UCL

こちらは煽りVに定評が有るフジテレビが放送。青嶋アナは五月蝿いと非難されることもあるが、民放にしては心惹かれる実況をしてくれると思う。サッカー小僧とか観ていたしね。

ゲーゲン、ゲーゲンとプレッシングしていっきにゴールを陥れようとするリバプールに対して、確度の高い一撃を繰り出すレアル・マドリーという構図の印象を受けた。

(ゲーゲン・プレスの意味、ちゃんと分かっていません)

相手が相手なだけあるし、リバプールに肩入れしてしまう。スパーズがリバプール苦手にしていることは置いておいて…。

ゲームを組み立てるモドリッチ選手のメインタスクを守備とさせるなど、一定の効果は見られた。

惜しむらくはこの日のメインキャスト、サラー選手の負傷と、恐らく普段では無いようなプレイのいくつか。

つなぐ意識を逆手に取った、遠い位置から効果的なシュートを放った。そうとらえたいのだが、本人は自責の念で耐えきれないだろう。似たようなこと、経験あるので大変よく分かる。

91pts ( v FC Crotone )

ボール支配率は71%、の割にはボコボコ得点ができるわけではなく、失点も有り最小得失点差で試合は終了。シーズンも終了。

積み上げたポイントは91。

Jリーグを見慣れていると70超えれば優勝できるんだけど、4試合多いとは言えコレはすごい。しかも、これで2位。

ただ、あらゆるチームに対して圧倒的だったかと言うと疑問が残る。ボール支配率に比例した得点ができる時も有ったし、ユヴェントス戦みたいな気迫のこもった試合も有った。一方で、決定機を作れど結果につながらない試合も見られた。

特に中堅以上を相手にした時に勿体無い負け、引き分け(フィオレンティーナやローマとの試合は特に)は残念だったな。

この日の試合でサッリ監督が激昂した安っぽい失点も、優勝に値していないことの証左であろう。

 

しかし、ひたすら美しい、面白いカルチョを見せてくれたことに感謝している。

監督が代わっても、クラブがこの路線をいかに体現できるかは見ものだし、サッリが今後どんな仕事をするかも大いに気になる。

内容に対して後味の悪いことこの上ない ( v 柏レイソル)

今季この上ないくらいの出来にも関わらず負けた。

吹っ切れたなあ、という印象。しっかり人数をかけてパスを回して相手陣内の深くへ進む。積極的にボール関与を続ける玉田選手や、時折下がってボールを受けるシャビエル選手の働きが目を惹く。ボールホルダーには複数の選択肢を与えることを全員が意識できていたと思う。後はそれを難なくやり遂げて欲しい!

出色だったのは児玉選手。この日がリーグ初先発にも関わらず堂々とした佇まいだった。ヒールで後ろに渡したり、ボールの受け方ひとつで守備者との距離を詰めたり離れたりと自由自在。「え?何やったの?」というボールの受け方で驚きも与えてくれた。

リーグカップでの榎本選手もすごかったらしいんだけど、児玉くんもね、動いている姿を見たぶん尚更すごいね!

 

しかしまあ、失点が相変わらず勿体無い。

1失点目は長崎との試合と同じ光景を見た。ペナルティエリア横をポカンと開けて、ボールを受けた選手に誰も行けない。そのままクロス、シュート、詰めた江坂選手には誰も行けていない。それ以前に、最初のシュートの伊東選手のところに人数をかけすぎている。

ぐっと深くに攻め入られて、ずるっとラインが下がってしまった。そのギャップを突かれる様は見ていて嫌になる。

セットプレイのまずさは解消されていなかったし、畑尾選手のアレは一体?畑尾くんには色々期待しているんだから、頼むよホント…。

 

水を差したのは和泉選手のシュートに対するオフサイド判定。

オフサイドのルール、読み直して見ます。大興奮だったんだけどなあ。

その後、選手、審判共に判定を引きずっていたように見えたのが気になった。

 

終了間際の出来事、とっても好感が持てる代表選出GKである中村選手が動けずひたすら心配である。

大変大変才能に溢れる選手だと思う。どうかどうか軽症であってほしい。思い切ったプレイの結果だから仕方がない、なんて言わせないでくれ…。

 

中村が倒れたまま試合は終了。再開しないまま試合が終わり残り時間はどういう扱いなの?

リードを許している側としては不満は大きい。追加タイムは目安とは言え、まだ1分弱残っていたはずだ。得点差が離れていたわけでもないし、どのように説明をつけるのであろうか?

 

中断前にこれではオーディエンス(サポーターっていうと仰々しいし、ウルトラって限定的なのでこんな言い方)も含めたクラブ全体の心をひとつにできない

内容は上出来という段階までやってきた。あとは結果が欲しいだけ。

風間監督に続けてほしい身としては、監督を替えたいという意見を翻意していただくためにも勝ちが欲しかった。しかし、試合は途中で打ち切られた形となったため、煮え切らなさを中断期間中は抱えていかねばならない。

この状態を、クラブ全体を包む不穏な空気としてはならない。

△ ( v UC Sampdoria )

引分けのことではない。

この試合の解説である清水範久さん曰く「三角形を作るのが早い」とナポリを評してた。

ナポリのボール保持が美しいと芸術品を愛でるくらいの気持ちで見ていたが、「成る程」と合点がいった。

三角形を作ることでボール保持者は常に複数の選択肢を持てる。かつ、三角形の外の選手が絡むことによって選択肢は増える。

常に頂点が入れ替わり続ける三角形が、目的を持って動くことをやめない。見惚れてしまうわけだ。まるでロンドを繰り返すよう。

さらに言えば、三角形の頂点たちは常に自らボールに関与する。そこには確固たる技術と、それを土台にした自信と勇気が感じられる。「明日も仕事頑張ろう」という気分にさせられる。

 

自陣でのプレスをかわすパス回しがヤバイ、という触れ込みでナポリを観たが、正解だった。自分なりにも、前線からのプレスに発見が有ったし、サッカー観ているのが楽しくなった。

ナポリには感謝している。

遠い記憶 UEFAカップ( v Leister City )

トッテナムを初めて意識的に観たのは06-07シーズンのUEFAカップ ラウンド16である。対戦相手はSCブラガだった。

大学を卒業する前にひとりで海外旅行に行こうと選んだのはロンドンで、現地へ行ってスケジュールが合ったというのがこの試合を選んだ理由である。

 

当時のスパーズはデフォー、ロビー・キーンに加えてベルバトフと、前線のタレントは眩しい。ヨル監督が率いていた。

(僕はベルバトフに加え、ポンテ、フランサというギャラクティコを苦しめたレバークーゼンの選手のうち3人を直接目にする幸運に恵まれている。)

試合はスパーズが主導権を握り、得点を重ねる。しかし、簡単な失点を許しスリリングな展開を制することになった。

決して横綱とは言えない守備の甘さが有るにも関わらず、そんなことを微塵も考えないような攻めの姿勢に大変惹かれた。ダメな子なんだけど、とても光るものを感じてしまったんだろう(歴史有るクラブに対して失礼な言い方だ)。

友人のラッツィアーレから「非ビッグクラブを追うことの楽しさ」を教わったせいもあるかもしれない。

 

大して試合をチェックできない日々を重ね、「ビッグ4という言葉を過去のものにした」という時期はJ-sportsでたまに、今季はかなりの量を観戦できた。

このレスター戦を「久々の馬鹿試合。これぞスパーズ」というツイートを見かけて、初めて観た試合のことを思い出した。

UEFAカップなんてもう無いし、ヨーロッパでの主な舞台をチャンピオンズに移そうとしている。

10年以上経っている。そりゃあ、いろいろ変わるよね。

他人行儀 ( v Vファーレン長崎)

J2で長崎相手に負けなかったが、アウェイでの試合は自動昇格が遠のいたという感情になったので決して良いイメージは無い。

しかし、引き分けふたつを挟んだこの試合こそ勝ちたい気持ちは有った。

ハードワークも、ピッチ上での臨機応変な工夫も、劣勢での振る舞いも、ここ数試合でできるようになってきたじゃないか。だったら後は、得点と勝利を…。

 

なんて思いは早々に打ち砕かれる。負けるときはいつも3失点。打ち合いを演じることができたのもJ2だけだったね。

 

守備では新井選手が復帰、攻撃では榎本選手が特別指定として加入して戦列に並び、新たなタレントが現れた。

ふたりとも才能ある存在だ。しかし、その存在に頼ることになってはいないか?任せたら任せっぱなしの他人行儀な姿勢が感じられた。

長崎の得点はいずれも自由な状態からシュートを打たれている。ポジションや役割は別に、誰かしらがそこに厳しく行けなかったものか。

攻撃でもボールを呼び込む動き見受けられない。恐れを知らないニューカマーばかりに仕事をさせていて良いのか。玉田選手投入で多少、ボールを受ける動きは活性化したが遅きに失している。

試合後会見で「フリーの定義」という言葉が挙がった。選手たちは己の最大限の「フリー」がどういう状態であるかを意識し、その状態を作り上げる。そんな作業を期待したい。これは反転すれば守備にも言えるはず。

 

しかし、つかみかけた感覚が逃げていくようで辛い。